コネクタメーカー イリソ電子工業

MENU

INTERVIEW WITH THE PRESIDENT IN MARCH 2023

収益構造の改善を成果につなげ、
次の成長ステージに向けて飛躍します

Q: 2023年3月期を振り返り、営業状況を総括願います。

鈴木:
パワートレイン分野の牽引で増収・増益となり、売上高は500億円を突破し過去最高となりました。

当期の営業状況は、為替が円安で推移する中、車載市場におけるパワートレイン分野の販売が拡大し、コンシューマー市場における伸びも寄与したことから、売上高が過去最高の529億3百万円(前期比20.6%増)に達し、当社初の500億円突破を果たしました。利益面は、原材料価格の高騰などによる売上原価の増加を増収効果と収益構造の改善で吸収し、営業利益69億40百万円(同53.5%増)、経常利益76億61百万円(同58.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益55億41百万円(同41.6%増)と、計画を上回る回復を遂げました。営業利益率は前期の10.3%から13.1%へ上昇し、過去最高の純利益を確保することができました。

車載市場では、半導体等の部品不足が続き、グローバルでの完成車生産台数が正常化に至りませんでしたが、中国や欧州を中心にxEV(電動車)が好調に推移し、これを受けてパワートレイン分野の売上高が前期比84%増と大きく伸びました。特にバッテリー関連や充電器関連が着実に成長しています。インフォテインメント分野、セーフティ分野の売上高も前期を上回り、車載市場全体で前期比22.0%の増収となりました。

コンシューマー市場では、複写機向けやゲーム機向けが売上を伸ばし、同25.7%の増収となりました。インダストリアル市場では、中国の設備投資需要を受け、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などのFA機器向けや5G基地局向けが好調に推移しましたが、期後半から生産調整局面に入り、年間で同3.1%の増収にとどまりました。

Q: 中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の見通しはいかがですか?

鈴木:
売上高目標は超過達成の見込みです。収益構造改善プロジェクトの刈り取りを進めていきます。

当社は、2030年3月期に「売上高1,000億円」を達成する長期ビジョンを掲げ、その実現に向けたプロセスとして、2024年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画を進めています。本計画は「売上高520億円」「営業利益率20%」を最終年度目標に掲げ、真のグローバル企業を目指し、次のステージへの飛躍を図るものです。

これまでの2年間は、半導体等の部品不足が響き、自動車生産台数が低迷しながらも、xEVの成長を受けたパワートレイン分野の拡大と為替の円安進行により、売上高は想定より上振れて推移しました。しかし営業利益率は、操業度の低下と原材料価格などコスト増の影響で目標未達となっており、挽回に向けて収益構造改善プロジェクトに取り組んでいます。

計画最終年度の見通しとして、主力の車載市場を展望すると、グローバルでの完成車生産台数は、前年度の8,200万台から8,400万台へ緩やかながら増加を継続していくと予想されます。その中でxEVの生産台数は、世界的な脱炭素化の流れを受け、前年度の16百万台から22百万台、自動車生産台数全体の25%を超えるまでの成長を示すと見られます。またコンシューマー市場では、巣ごもり需要の反動が予想され、インダストリアル市場では、中国の設備投資需要が減速し、生産調整局面が期前半にかけて続くと思われます。

以上を踏まえ、2024年3月期の連結業績は、売上高550億円(当期比4.0%増)、営業利益77億円(同10.9%増)、経常利益75億50百万円(同1.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益57億円(同2.9%増)を予想しています。売上高は、引き続き過去最高を更新し、中期経営計画の目標を上回る一方、営業利益率は14%となり、目標の20%に届かない見通しです。

当社は、業績改善とさらなる成長への重点施策として、価格政策の見直しや製品原価の低減、生産性の向上による「収益構造改善プロジェクトの刈り取り」と、車載xEV向け新製品の投入や次世代高速伝送対応コネクタの開発など「戦略製品ラインナップ強化」に注力し、営業力および生産能力の増強とともに推進します。生産能力については、2023年11月に花巻工場(岩手県)の稼働を予定しており、金型の内製化による寄与が期待できます。また秋田県に新設するコネクタ工場は、2025年の稼働に向けてプロジェクトを実行していきます。

Q: 株主の皆様へのメッセージをお願いします。 

鈴木:
すべてのステークホルダーとともにサステナブルな発展を目指し、豊かな未来を築き上げます。

今回の期末配当は、配当性向30%以上の安定配当を維持する株主還元方針に則り、利益の改善を反映して当初予定の1株当たり60円から増額し、同80円(前期比20円増配)とさせていただきました。これにより当期の配当性向は34.0%となりました。2024年3月期の期末配当は、同90円を予定しています。今後は、事業拡大に向けた成長投資の資金を確保しつつ、長期ビジョンに掲げる「ROE10%超」の実現に向けて資本政策を見直し、配当水準の向上や自己株式の取得を通じて、株主の皆様への還元をさらに拡充していく考えです。

このたび当社は、経営理念の実践を通じて目指す「イリソ電子工業のあるべき姿」を社内に共有・浸透させ、同時に社外へ明確に発信するために、「パーパス(存在意義)」および「ドリーム(社会で実現したいこと)」を具体化しました。また、事業活動を通じて社会に貢献し、環境・社会課題の解決に寄与していく方向性を示すべく、「CSR方針」を制定しました。

私たちは、これらの制定に込めた想いを胸に、株主の皆様、お客様、地域社会、そして社員を含むすべてのステークホルダーとともにサステナブルな発展を目指し、豊かな未来を築き上げてまいります。これからも長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。