コネクタメーカー イリソ電子工業

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高速ジャンパソリューションHigh Speed Jumper Solution

高速ジャンパソリューション

イリソ電子工業がご提供する高速ジャンパソリューションは、FPC/FFCを介して高速信号を基板上から切り離し、お客様の設計に自由度とコストの最適化に貢献します。

開発背景

25Gbpsに達するような高速信号において、基板上のトレースでの信号の損失が問題となります。基板での信号の経路が長くなるほどその影響は顕著なため、設計者の方はFPGAやインターフェイスコネクタのレイアウトに頭を悩ませたり、高価な低損失材料の選択や、信号をリフレッシュさせる部品の追加したり等の選択に迫られます。

高速伝送対応により生まれる課題

伝送路上で信号を損失させる要因としては大きく2つ、金属の抵抗値による抵抗損失、伝送路周辺の誘電材質による誘電損失に大分されますが、考慮すべき周波数が高くなるにつれて、後者の誘電損失の課題が大きくなってきています。この誘電損失は各材料が固有の値をもつ「(比)誘電率」「誘電正接」というパラメータに依存し、それらが高いほど損失が大きく、低くするほど抑えられる関係をもちます。

前述の低損失材料は、従来の基板材料からこの2つのパラメータを低く抑えたもので、次々とよりよい材料が開発されています。しかし基板としての機械的性能との両立から、電線等の他の伝送路用の誘電材には性能が落ちますし、どうしても高価になってしまう課題があります。

そこで、「基板以外の伝送路で高速伝送分のみを避難させる」ことで、より安価で信頼性の高い高速伝送ソリューションをご提供できるはずであると、その伝送路の中でもFPC(フレキシブルプリンテッドサーキット)FFC(フレキシブルフラットケーブル)と呼ばれる配線材とイリソ電子工業のコネクタを組み合わせて開発したものが、今回ご紹介する「高速ジャンパソリューション」です。

基板材と配線材の誘電率比較

コンセプト

イリソ電子工業がご提供する高速ジャンパソリューションは、FPC/FFCを介して高速信号を基板上から切り離し、お客様の設計に自由度とコストの最適化に貢献します。

3つのポイント

  • 1.安価で高性能/低損失な配線材を選定
  • 2. 低反射のコネクタで接続
  • 3. 最適な設計ソリューションをご提供
高速ジャンパソリューション3つのポイント

また、25Gbpsの信号を300mm程度までジャンパ可能なものを準備しています。下のグラフに示すように、同じ長さの代表的な低損失基板に対してナイキスト周波数で約40%の損失低減に成功しています(FFC使用)。

ナイキスト周波数で約40%の損失低減に成功

では、3つのポイントをひとつずつくわしくご紹介します。

1. 安価で高性能/低損失な配線材を選定

高速ジャンパソリューションのコンセプトに近い製品は、実は海外系の同業他社様を中心に製品化されています。しかし、それらのほとんどはいわゆる「丸線」導体を使用した電線ベースの高速ケーブルソリューションで、比較的高価なソリューションです。また性能確保のため一定以上のサイズ感となったり、配策が煩雑になったり等の課題があるように見受けられます。

丸線電線の課題

そこでイリソ電子工業は、これまで接続技術を開発し続けてきたFPC/FFCに着目しました。FPCは、近年電線材料には及ばずとも、「低損失基板材並み」のLCPが使われ始めています。より電線に近い製法をもつFFCに至っては、電線絶縁材料に迫る材質が開発されています。

誘電損失が小さくなると、再度抵抗損失が無視できなくなります。抵抗損失の観点では、これまで同じ実装密度において、より大きな導体断面積を有することができる丸線を使用した電線は、可能な限り「薄く平たい」導体をもつことを特徴としたFPCやFFCより有利とされてきました。しかしながら高速化が進み、高周波での表皮効果の影響が顕著となってきた今日では、抵抗損失は導体の断面積より表面積に依存するようになってきました。よってその差は縮まってきており、ニーズは逆転しつつあります。

2. 低反射のコネクタで接続

コネクタにおいて、特に接続部では特性インピーダンスの乱れが顕著となり、そこで十分な性能を確保できなければ、線材のもつ性能を活かしきれません。
今回のソリューション開発では、低反射のコネクタを開発するとともに、仕様線材とのマッチングを見ながら開発を進めていく必要がありました。特に、より安価でより高い伝送特性が期待されるFFCに関しては、今回の目的より低い周波数帯で、より長い距離に向けて開発されたものだったため、いくつかの供給メーカ様の協力を得ながら評価と開発を実施しました。結果、従来の高速伝送タイプに対して、大きく性能を改善したコネクタのリリースへとつなげることができました。

3. 最適な設計ソリューションをご提供

本開発は、総合的な性能検証によって、製品単独ではなく「ソリューション」として完成をさせています。
実際に使用されるべき線材とコネクタ、そしてイリソ電子工業の推奨設計に基づく評価基板を作成し評価を実施しています。
下の図は100Gイーサネットのための基板上28Gbpsのチップ間規格であるCEI 28G-SRに対する評価事例です。

CEI-28G-SRに対する評価事例

一方で、お客様自身でのシミュレーション等に対応するため、製品のピュアな特性を評価する別のテストフィクチュアも製造し、「基板実装部(SMT )→コネクタ→線材→コネクタ→基板実装部」までのSパラメータ の抽出を行い、お客様にご提供しています。(数に限りがございますが、お客様への基板の貸し出しも実施しています/30極品対応。お問い合わせフォームから 、もしくは弊社営業員にお問い合わせください。)。

加えて、複数の信号やPowerの伝送が行われる際等のピンアサインメントに関しても、追加評価を通じて追加コネクタ等を含めたご提案をしています。

このように、コネクタの製品単独のみのご提供にとどまらず、イリソ電子工業のもつノウハウをすべて踏襲し、協業メーカ様との連携のもと、お客様の設計の自由度とコストの最適化に貢献する「高速ジャンパソリューション」をお客様にご提案しています。

関連リンク

本記事でご紹介したソリューションのほか、高速伝送コネクタに関するコラムや製品ラインナップをご覧いただけます。

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