株主・投資家の皆様には、平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
第60期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)のご報告を申し上げます。
当連結会計累計期間における世界経済は、インフレ沈静化を背景に金融引き締め局面からの転換が進みつつも、地政学リスクや構造成長率の低下により力強さを欠く1年となりました。米国は個人消費の底堅さから相対的に堅調だった一方、欧州は景気回復が鈍く、日本は緩やかな回復基調にとどまりました。中国は不動産調整の長期化で成長が鈍化し、新興国も国・地域ごとに明暗が分かれました。
当社グループの主要事業領域である自動車関連市場は、特に中国において、当第4四半期での季節性やEVに対する補助金政策の変更により生産・販売は鈍化しましたが、通期を通しては輸出向けを含めて堅調に推移し牽引しました。
このような事業環境の中、売上高は、自動車向けが中心のモビリティ市場においては、自動車内で扱われる情報量の増加に伴うインフォテインメント分野での高速伝送対応可動BtoBコネクタの需要の堅調さと、xEV(EV、FCHV、PHV、HEV)向けのパワートレイン分野で中国地域が好調さを維持していることにより、前期比7.5%増加しました。コンシューマー市場では、主にゲーム機向けが減少し、前年同期比3.8%減となりました。インダストリアル市場では一部のFA機器向けの回復と、エネルギーマネジメント分野向けの拡大が継続したことにより、前期比67.1%増加しました。以上により、売上高は前期比9.9%増の619億6千1百万円となり、連結会計累計期間として過去最高売上高を更新しました。
利益面では、原材料価格高騰等の影響を受けたものの、原価低減や構造改革効果により、営業利益は前期比0.2%減の54億3千6百万円、経常利益は前期比10.1%増の61億3千2百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、第三者委員会による調査関連費用を特別損失として計上した結果、前期比1.6%増の25億5千3百万円となりました。
次に今後の見通しについて申し上げます。
世界経済は、中東情勢などの地政学リスクの影響による原材料、エネルギーコスト、輸送費の高騰など、不透明な状態が続いています。
モビリティ市場においては、2027年3月期はグローバルでの自動車生産台数は前期比微増、その中に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比は前期比増加すると予想しており、当社の売上ではインフォテインメント分野での高速伝送ニーズの増加、中国顧客向けでの伸長が見込まれます。コンシューマー市場はゲーム機向けの需要低迷が継続し厳しい環境になると見込んでいますが、インダストリアル市場は、エネルギーマネジメント分野など新たな領域での需要やFA機器向けの回復が見込まれます。
2024年5月の中期経営計画の策定時に想定していた経営環境から、原材料価格の高騰、地政学リスク、日欧米自動車メーカーの販売不振やEV市場の減速、中国自動車メーカーの台頭と価格競争の激化などの変化が起きています。この変化と現在の中期経営計画の進捗、来期以降の展望も踏まえ、中期経営計画の3年目である2027年3月期は以下を重点施策として取り組んでまいります。
・日欧米、中国、韓国、アジアなど、展開している拠点それぞれの地域の特性に合わせた営業活動と市場・顧客開拓
・モビリティ市場でのインフォテインメント分野への次世代高速対応製品投入と、スケーラブルコネクタの開発
・インダストリアル市場でのエネルギーマネジメント分野での売上拡大推進、AI(AIサーバー、フィジカルAI等)、半導体製造装置、通信分野の新規開拓
・中国国内での製販技の一体体制の強化
・省金化と金めっきの薄膜化による原価低減
・設備標準化、金型内製化の拡大による設備投資効率向上、固定費圧縮
以上により、2027年3月期の業績見通しにつきましては、連結売上高670億円(対前期比8.1%増)、連結営業利益35億円(対前期比35.6%減)、連結経常利益27億円(対前期比56.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億円(対前期比37.3%減)を見込んでおります。為替レートは、155円/ドル、180円/ユーロ、22円/人民元を前提としております。
株主・投資家の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
2026年10月
代表取締役社長 池田 修一